紅の豚は宮﨑駿自身かも
【紅の豚】を一言で表してみると、「宮崎駿のおもちゃ箱」的映画と言えると思います。
これほどまでに宮崎監督の趣味・嗜好が詰まった映画はないのではないでしょうか。
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東京は三鷹市にある「三鷹の森ジブリ美術館」
パンフレットには宮崎監督手書きの館内地図が掲載されており、宮崎監督の思い入れが最優先とされているであろう美術館です。
ここを訪れたことがある方ならば、宮崎監督の『紅の豚』に対する愛着や思い入れを感じた人も多いのではないのでしょうか。
美術館内の一角に「映画の生まれる場所」と銘打たれている、まるで制作部屋の一部をハサミで切り取ってポンと張りつけただけのような、たくさんの仕事道具からガラクタ(失礼!)までが所狭しと置いてある部屋があります。
宮﨑駿はポルコを自身と置き換えているのでは
この部屋には思いついたことを描きとめるノートや、アシスタントへの指示が書かれたメモなんかも転がっているのですが、それにこの『紅の豚』の主人公である、ポルコがよく描かれています。
よくよくみるとポルコがアシスタントへの指示を言っているような書き方になっている――そう、宮崎監督は自分をポルコに見立てているのです。
そして館内を一通り歩き、お土産でも買おうかとお店に向かえばそのショップの名前は「マンマ・ユート」
これは『紅の豚』に出てくる空中海賊です。
盗賊団なので金品の強奪をする悪党ではあるのですが、これがまた憎めない人間達でして。
劇中で襲撃した船に沢山の子供が乗っていて、何人かに分ければすぐ人質として自分の飛行機に乗せれたのに「仲間外れを作っちゃかわいそうじゃねぇか」といって、無理して一つの飛行機に乗せてあげたりするんです。
で、その「マンマ・ユート」に入ればところどころに立派な飛行機模型が飾られています。生家が航空機関連の仕事をされていたことから空への憧れを持ち、飛行機が大好きな宮崎監督。
これなかったらもっと商品並べられるだろうに・・・なんてことは考えません!
これは推測の域を出ませんが、おそらく前作の『魔女の宅急便』が興行収入で良い結果を出し、宮崎監督自身が広く世間から認められるようになって、宮崎監督のやりたいことができるようになったタイミングだったのでしょう。
映画自体はというと、前作から変わったところが多くあります。
子供が主人公だったのに中年のおじさん、しかも見てくれが豚に。時代設定も今までのファンタスティックでノンフィクショナルなところから一気にリアルに近づき、ある程度世界史を学んでいないとよくわからないように。
子供にとっては少しばかり敷居の高い映画になったなぁと感じられるかもしれません。
しかしある程度歴史を学んで大人になった方であれば(特にイタリアが好きだというならば)一気に面白くなる映画。
宮崎監督に興味がある方には一押しのジブリ作品です。
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