もののけ姫はジブリ映画の最高傑作といえるのか?

『風立ちぬ』完成後に引退会見をした宮崎駿監督が、「今回は本気です」と言って記者達の笑いを誘っていたのを覚えていますか?

これはつまり、以前にも何回か「引退します」という発表をしたことがある、ということなんですけど、その中の一つがこの『もののけ姫』完成直後の事でした。

しかし、ここで引退しても納得といえる、宮崎作品の集大成といっても全く過言ではない素晴らしい作品です。

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最高のクオリティのためにジブリをつぶす勢いでの制作費

当時のアニメ映画としては超高額な製作費が費やさされ、桁違いの労力と時間(通常の倍の作画を作成するなど)を掛けて作られていたそうで、「ジブリを遣い潰す」とまで言われたほどです。

内容においても今までの作品に無い(もしくはあえて抑えていた)挑戦ともいえる、過激でグロテスク表現が多々見られます。

たとえばそれは作品の冒頭からでてきます。

猪一族の長がタタリ神になってしまうシーン

あの大量のどでかいヒルのようなものが体中にまとわりついてウニョウニョ動く様子。もし自分が・・・なんて考えただけで背筋がぞぉーっとしてしまいます。

あと、主人公であるアシタカが戦うシーンでは、人間の両手や首が吹っ飛んだりします。

映画全体に通ずるテーマに関しても例外ではありません。それは「人間と自然」であり、出てくる人間の多くは自然を喰らい、神を退治しようとします。
この映画の中で私達人間は神々から憎まれ、襲われます。

また人間同士の中でも、簡単に善悪つけられない難しいメッセージが散りばめられています。

社会的弱者への差別を描くためのハンセン病に罹った包帯だらけの人たちが登場するのですが、彼らはエボシ御膳を「私達に手を差し伸べてくださった」と敬います。
しかしエボシは鉄を作り出すために周りの木々を膨大に伐採していきます。
さらには自然の象徴的存在である「シシ神」退治まで企てます。

人間と神々の共存は可能なのか。自然を喰らって生きる人間とは「悪」なのか

難しい疑問が激しく渦巻いて頭が痛くなりそうなのですが、そこを、アシタカのまっすぐな心やヤックル、木霊の可愛さがこの映画を分かりやすく、マイルドにしています。

恐ろしく敷居の高い映画となるのは、やはり宮崎監督の意にそぐわないのでしょう。

この他ベースにはメソポタミアの叙事詩『ギルガメシュ』を置き、時代背景には室町期の絵巻、中尾佐助氏の『照葉樹林文化論』と多岐にわたるジャンルの文献を調べ上げ、そこから得た情報を総動員しています。

結果的に宮崎氏はカムバックを果たしたわけですが、今なお宮崎作品史上最高の作品と謳う人も多い作品です。

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